防災用のカセットボンベを何本買えばよいか迷ったら、まずは**農林水産省が示す「1人1週間あたり約6本」**を出発点にしましょう。ただし、これは備蓄の目安であり、どの家庭でも同じ本数を使うという意味ではありません。農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド(7)」
自宅で備える本数を考えるには、人数と日数に加えて、カセットこんろの仕様、食事を温める回数、火を使う時間、季節を確認します。最後に、現在持っているボンベを数えると、買い足す本数まで整理できます。
この記事では、公的な備蓄目安と、家庭の使用時間から求める試算を分けて説明します。
まずは「1人1週間約6本」を出発点にする
農林水産省の目安を人数に合わせて計算すると、次のようになります。
| 家族の人数 | 1週間分を考える出発点 |
|---|---|
| 1人 | 約6本 |
| 2人 | 約12本 |
| 4人 | 約24本 |
2人・4人の本数は、同省の「1人1週間約6本」に人数を掛けた本記事の計算です。家庭ごとの実使用量や、必ず足りる本数を示したものではありません。農林水産省の備蓄目安
温めるだけの食事を中心にするか、米を炊くなどの調理もするかで、火を使う計画は変わります。「人数表で本数を決めて終わり」にせず、用意する食事と自宅のこんろも確認しましょう。
4人家族の「約24本」と「約4.6本」は条件が違う
東京ガスは、4人家族が1日3食、特定の献立を1週間調理した実験で、ガス使用量が合計1,139.6g、ボンベ約4.6本分だったと報告しています。これは、その献立・調理条件で得られた実測結果です。東京ガスの調理実験
一方、約24本は、公的な1人1週間の備蓄目安を4人分に換算したものです。目的も条件も異なるため、2つの数字を平均して必要本数を決めることはできません。
「4人家族なら5本で十分」とは考えず、自宅では何を、何回、どのくらい加熱するかを確認するための実験例として読みましょう。
自宅のこんろと使用時間から、計画を確かめる
家庭に合わせて考えるときは、こんろの公表連続燃焼時間と、予定している総使用時間を比べる方法があります。ここで求めるのは、条件を置いた試算です。そのまま備蓄の推奨本数や、災害時に足りる保証にはなりません。
1本で使える時間は、自宅の機種で確認する
カセットボンベ1本で使える時間は、こんろの機種や使い方によって変わります。例えば岩谷産業の「カセットフー“スリム”」は、連続燃焼時間が約70分とされています。測定条件は、気温20~25℃で強火を連続使用し、ボンベ1本を使い切る実測です。岩谷産業「カセットフー“スリム”」
同じメーカーでも機種ごとに仕様が異なります。約70分をすべてのこんろに当てはめず、自宅の型番から公式製品情報や取扱説明書を確認してください。岩谷産業「カセットフー“エコプレミアム”」の仕様
確認したいのは、連続燃焼時間だけでなく、測定時の火力・温度・使用ボンベです。強火で測った時間は、弱火を交ぜた実際の調理時間と同じ意味ではありません。指定されたボンベを使うことも必要です。日本ガス石油機器工業会「カセットこんろ・カセットボンベの安全な使い方」
1日の加熱を、家族全体で何分使うかに直す
次に、用意する食事に合わせて、家族全体で火をつけている時間を考えます。温める食事だけでなく、飲み物などの湯沸かしも含めて整理すると、見落としを確認できます。
同じ時間ずつ使うなら、次のように計算できます。
1日の合計使用時間=1日の使用回数×1回の使用時間
例えば、家族全体の加熱を「1日2回、各20分」と仮定すると、1日40分です。朝・昼・夜で時間が違う場合は、それぞれの時間を足します。すでに家族全体の時間を数えていれば、さらに人数を掛ける必要はありません。
この40分は計算方法を説明するための仮定です。4人分の食事を必ず40分で用意できると実証した数字ではありません。
食事の内容がまだ決まっていなければ、まず非常食の食数と食品構成の考え方を確認しましょう。食品の調理に使う水は、防災用の水の備え方と合わせて整理できます。
3日分と1週間分を、同じ条件で試算する
毎日同じ時間使う場合の式は、次のとおりです。
総使用時間(分)=備える日数×1日の合計使用時間(分)
試算本数=総使用時間÷1本あたりの公表連続燃焼時間
本数の小数点以下は切り上げます。日ごとに使う時間が違う場合は、各日の使用時間を合計してください。
以下は、岩谷産業「カセットフー“スリム”」の公表値である約70分を使った試算です。20~25℃・強火連続燃焼の条件を置いた例であり、家庭での調理を再現した実測や、人数別の必要量ではありません。1日20分・40分・60分は、本記事で置いた仮定です。燃焼時間と測定条件
| 家族全体の1日の合計使用時間 | 3日分の試算 | 7日分の試算 |
|---|---|---|
| 20分 | 60分÷70分→1本 | 140分÷70分→2本 |
| 40分 | 120分÷70分→2本 | 280分÷70分→4本 |
| 60分 | 180分÷70分→3本 | 420分÷70分→6本 |
例えば4人家庭でも、家族全体で1日40分という仮定なら、3日で2本、7日で4本という計算結果になります。ただし、「4人家族の1週間分は4本でよい」という意味ではありません。火力の切り替え、気温、鍋、水温、風、調理内容が違えば、この条件通りにはなりません。岩谷産業の用途・気温別試算
本記事では、試算が公的目安より少なく出たときも、その数字だけで備蓄を減らさず、食事や湯沸かしの抜け、測定条件との違いを確認することをおすすめします。逆に多く出た場合も、使用時間や条件を見直してから、備える計画本数を決めましょう。
なお、この表は1週間の公的目安を日割りしたものではありません。3日分については、実際に予定する3日間の加熱から考えます。また、端数の切り上げは、予備分を確保したことにはなりません。
冬は、同じ調理でも使用量が変わる
気温による違いもあります。岩谷産業は、2人分のレトルト惣菜とパックご飯2個を温める条件で、次のガス使用量を示しています。
| 気温 | 1回のガス使用量 |
|---|---|
| 25℃ | 47.2g |
| 10℃ | 59.7g |
水1L、20cmの両手鍋を使った例です。同ページが示す実験条件は、2,800kcal/hのカセットこんろ、薄手アルミ鍋・ふたなし、無風です。岩谷産業「ご存じですか?カセットボンベの備蓄目安」
同じ用途でも、10℃の条件では25℃より多くのガスを使っています。ただし、この差をすべての料理や冬の家庭に当てはめることはできません。日本ガス石油機器工業会も、寒い季節はボンベが多めに必要になると説明しています。日本ガス石油機器工業会「備蓄の知識」
冬の備えでは、20~25℃で測った燃焼時間の試算をそのまま頼りにせず、使う季節・場所と、自宅機種の取扱説明書の条件を確認しましょう。本記事では、冬だから一律に何倍という計算は行いません。
製造年月と現在庫を確認して、買い足す本数を決める
日本ガス石油機器工業会は、カセットボンベを製造後約7年以内を目安に使い切るよう案内しています。起点は購入日ではなく製造年月です。ガスが腐るという話ではなく、容器などの経年劣化を考えた使用目安です。日本ガス石油機器工業会「カセットこんろとカセットボンベは経年劣化します」
「7年までは必ず使える」という保証ではありません。手元の製造年月を確認し、表示の読み方や状態に不明点があるものは、メーカーに確認する項目として分けておきましょう。異音・異臭などがあれば使用を中止するよう、NITEも注意を促しています。NITE「カセットこんろの事故」
買い足しは、次の順番で整理すると分かりやすくなります。
- 公的目安と家庭の使用計画を確認し、備える計画本数を決める。
- 指定ボンベか、製造年月などを確認できた未使用の在庫を数える。
- 計画本数から、その在庫本数を引く。
買い足し本数=備える計画本数-確認できた未使用在庫です。在庫が計画以上なら、この差し引きによる追加は0本になります。これは在庫整理の計算であり、その計画自体が十分かを保証するものではありません。
例えば、4人・1週間の公的目安から24本を備える計画にし、確認できた未使用在庫が9本なら、買い足しは15本です。この24本は今回の計画例で、すべての家庭に固定する数字ではありません。
在庫表では、使いかけを未使用1本分として数えず、製造年月や状態が不明なものも別にしておくと、確認すべきものを見失いません。
古いものから使い、使った分を補充する方法は、日本ガス石油機器工業会も案内しています。ボンベの経年劣化と使い切りの目安 防災用品全体を見直す手順は、点検・交換・補充の進め方にまとめています。
ボンベの保管場所と、使う前の注意を確認する
本数を決めたら、そのボンベを保管できる場所も確認しましょう。日本ガス石油機器工業会は、40℃以上になる車内などにボンベを置かないよう注意しています。NITEは、使用後にボンベを取り外し、40℃未満の場所に保管するよう案内しています。日本ガス石油機器工業会の安全情報、NITEの事故防止情報
車内を備蓄場所にすることは避け、温度条件を満たせる置き場所を考えてください。防災用品全体の置き分けは、収納場所の決め方で確認できます。
使うときは、自宅のこんろの取扱説明書に従ったうえで、特に次を確認しましょう。
- 指定されたボンベを使い、正しく装着する。
- こんろを覆うような大きな調理器具を使わない。
- カセットこんろを2台以上並べて使わない。
- テントや車内で使用しない。
- 異音・異臭などがあれば使用を中止する。
これらは、日本ガス石油機器工業会とNITEが示す注意事項です。ボンベを異常に熱くする使い方も避けてください。日本ガス石油機器工業会「安全な使い方」、NITE「カセットこんろの事故」
廃棄するときは、住んでいる地域の取り決めを確認します。一律の処分手順で判断せず、自治体の案内に従ってください。日本ガス石油機器工業会の廃棄に関する案内
まとめ|本数と使い方を一緒に決める
カセットボンベの備蓄は、まず1人1週間約6本という公的目安を出発点にし、自宅のこんろ、食事の加熱時間、備える日数、季節を確認して考えましょう。
使用時間による試算は、家庭の計画を確かめるためのものです。計算が少なく出ても、その本数で必ず足りるとは限りません。備える計画本数を決めたら、製造年月などを確認した未使用在庫と比べ、買い足す本数を整理します。
熱源以外の備えも合わせて確認したい方は、家庭の防災用品と準備の順番をご覧ください。

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