非常用トイレは、成人1人につき1日5回を目安に必要な回数を考えます。経済産業省は、1週間分として1人35回分を備えることを推奨しています。4人家族なら、5回×4人×7日で140回分です。内閣府 広報誌「ぼうさい」掲載「トイレ備蓄忘れていませんか?」
ただし、「100回分」と書かれた商品を1箱買えば、どの家庭でも十分というわけではありません。家族の人数と備える日数から必要回数を出し、現在の備蓄や商品の回数と比べることが大切です。
この記事では、3日分・7日分の人数別の備蓄量、50回・100回セットを選ぶ場合の必要数、携帯トイレを選ぶときに確認したい点を整理します。
本記事では、断水や排水できないときに既存の洋式便器へ便袋を取り付けて使う「携帯トイレ」を中心に説明します。川崎市上下水道局「備蓄しよう、携帯トイレ」でも、既存の洋式便器につけて使用する便袋として案内されています。
非常用トイレは1人1日5回を目安に計算する
内閣府の広報誌に掲載された経済産業省の案内では、成人の1日の平均排せつ回数を1人5回とし、1週間分として1人35回分を備えることを推奨しています。内閣府 広報誌「ぼうさい」第111号
必要回数は、次の式で計算できます。
1日5回 × 家族の人数 × 備える日数
たとえば4人家族が7日分を備える場合は、5回 × 4人 × 7日 = 140回分です。
1日5回は備蓄量を考えるための目安です。すべての人が必ず1日5回使用するという意味ではありません。普段の排せつ回数や家族の状況も確認し、必要に応じて調整してください。
川崎市上下水道局も、携帯トイレを1人1日5回分として、最低3日分、できれば7日分以上備蓄するよう案内しています。川崎市上下水道局「備蓄しよう、携帯トイレ」
家族人数別に3日分・7日分の必要回数を確認する
1人1日5回として計算すると、必要回数は次のようになります。
| 家族の人数 | 3日分 | 7日分 |
|---|---|---|
| 1人 | 15回分 | 35回分 |
| 2人 | 30回分 | 70回分 |
| 3人 | 45回分 | 105回分 |
| 4人 | 60回分 | 140回分 |
| 5人 | 75回分 | 175回分 |
1〜4人の数値は川崎市上下水道局の備蓄目安でも確認できます。5人分は、同じ1人1日5回という目安を使って本ブログで計算したものです。
まず現在何回分を持っているか確認し、必要量との差を出してみましょう。
たとえば4人家族で現在50回分を備えている場合、3日分の60回には10回不足し、7日分の140回には90回不足します。100回分を備えていても、4人家族の7日分には40回足りません。
「大容量のセットを持っている」という感覚だけで判断せず、箱や商品説明に記載された回数を確認することが大切です。
50回・100回セットなら何箱必要か計算する
ここでは、1箱50回分または100回分の商品を選ぶと仮定し、備蓄がない状態から7日分を満たすために必要な箱数を計算します。
| 家族の人数 | 7日分の必要回数 | 50回分の商品でそろえる場合 | 100回分の商品でそろえる場合 |
|---|---|---|---|
| 1人 | 35回分 | 1箱で50回分 | 1箱で100回分 |
| 2人 | 70回分 | 2箱で100回分 | 1箱で100回分 |
| 3人 | 105回分 | 3箱で150回分 | 2箱で200回分 |
| 4人 | 140回分 | 3箱で150回分 | 2箱で200回分 |
| 5人 | 175回分 | 4箱で200回分 | 2箱で200回分 |
これは商品の販売単位を必要回数へ置き換えるための計算例です。50回・100回という容量を推奨しているわけではありません。
4人家族の場合、50回分なら3箱で150回分、100回分なら2箱で200回分になります。容量の異なる商品を組み合わせても構いません。たとえば100回分と50回分を1箱ずつ備えれば、合計150回分です。
必要回数を満たしていても、箱の数、大きさ、重量、セット内容などは異なります。購入前には収納場所も含めて確認しましょう。
すでに備蓄がある場合は、必要回数から現在使える回数を引いて不足分を求めます。購入する箱数は、不足分を1箱の回数で割り、端数が出たら切り上げて計算できます。
同じ回数でもセット内容を確認する
同じ「100回分」の商品でも、構成が同じとは限りません。携帯トイレには、便袋と凝固剤を組み合わせるものや、吸水シートを使用するものがあり、外袋などの付属品にも違いがあります。内閣府「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」本文13ページ(PDF)
購入前には、次の点を商品の公式情報や説明書で確認します。
- 何回分として販売されているか
- 便袋など必要な袋が何枚入っているか
- 凝固剤や吸水シートなどが何回分入っているか
- 使用済みの便袋を入れる外袋や防臭袋などが付属するか
- 1回ごとの使い方はどうなっているか
- 保存期間や保管条件が示されているか
表示された回数だけを見て決めず、実際にその回数を使用するために必要な部材がそろっているか確認してください。外袋などの付属品を、排せつに使える回数へ加算しないようにします。
携帯トイレと簡易トイレの違いも確認する
非常用トイレを探していると、「携帯トイレ」と「簡易トイレ」という言葉が使われています。
内閣府のガイドラインでは、携帯トイレは既存の洋式便器に取り付ける便袋タイプとして説明されています。簡易トイレには、室内に設置できる小型で持ち運び可能なものがあり、介護用のポータブルトイレなども紹介されています。内閣府「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」本文13〜14ページ(PDF)
家庭で既存の便器を利用できる場合に備えるものと、便座そのものが必要になる場合に使うものでは用途が異なります。
商品名だけで判断せず、自宅の便器へ設置する製品なのか、便座を含む製品なのかを確認してください。便座を含む製品を選ぶ場合も、便袋などの消耗品が何回分付属するかは別に確認します。
商品を選ぶときは公的情報と専門機関の情報を分けて確認する
非常用トイレを選ぶときは、情報の発信元も確認しておきましょう。
必要回数や災害時の注意は公的機関を優先する
本記事の必要回数については、内閣府に掲載された経済産業省の案内や川崎市上下水道局の情報を主な根拠としています。
必要回数はこうした備蓄目安から計算し、購入する商品のセット内容や使い方、保存期間はメーカーの公式情報で確認します。備蓄量の目安と、個別商品の性能は分けて確認しましょう。
日本トイレ研究所の規格適合情報は専門的な参考情報として使う
日本トイレ研究所は、トイレを通して社会課題の改善に取り組むNPOです。国や自治体などの公的機関ではありません。
同研究所では、独自に定めた携帯トイレの規格に基づいて適合評価を行い、規格適合製品リストを公開しています。国の認証や国による推奨商品の一覧として扱うものではありません。
評価項目には構造・吸収性能・表示があり、防臭性能は任意項目です。適合製品であることだけから、すべての製品が同じ防臭性能を持つとは判断できません。日本トイレ研究所「携帯トイレに関する規格適合評価」
専門機関による判断材料の一つとして利用し、家庭に必要な回数、商品の公式仕様、セット内容、保存期間、収納できる大きさ・重量と合わせて確認してください。
水が出ても水洗トイレを流せるとは限らない
災害時は、水道から水が出るかどうかだけでトイレを使えるとは判断できません。
川崎市上下水道局は、地震などで宅地内の排水設備が破損すると、汚水を下水道へ排出できず、建物内の低い場所から汚水があふれるおそれがあると案内しています。そのため、排水設備に破損がないことを確認できるまでは携帯トイレを使用するよう案内しています。川崎市上下水道局「備蓄しよう、携帯トイレ」
生活用水を備えていたとしても、**「水があるから水洗トイレを流せる」**とは考えないようにしてください。
内閣府のガイドラインでも、発災直後は下水処理場などの被害状況が確認されるまで水洗トイレの使用を禁止し、災害用トイレを使う方針が示されています。自治体や下水道管理者の案内を確認し、集合住宅では建物の管理者からの案内も確認しましょう。内閣府「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」本文12ページ(PDF)
買った後は使い方を確認する
非常用トイレは、買って収納するだけで準備が完了するわけではありません。川崎市上下水道局も、使用前に使い方をよく確認するよう案内しています。川崎市上下水道局「備蓄しよう、携帯トイレ」
購入後は商品の説明書を読み、次の点を確認しておきましょう。
- 便袋をどのように取り付けるか
- 凝固剤などをいつ使用するか
- 使用後に袋をどのように閉じるか
実際に練習用として消費した場合は、その回数を備蓄数から引き、不足分を補充します。また、普段管理していない家族にも保管場所を伝えてください。
置き場所と残りの回数も確認する
必要回数をそろえた後は、商品の保管条件に合う収納場所を決めます。
非常用トイレを複数の箱で備える場合も、購入したときの箱数ではなく、現在使用できる回数を確認できるようにしておくと管理しやすくなります。
たとえば4人家族が140回分を維持する計画で、練習で10回分使用した場合は、140回 − 10回 = 130回となり、必要量まで10回分不足しています。
防災用品全体の置き場所は防災用品の収納場所はどこがいい?リュック・水・非常食の置き方と確認手順、用品全体の点検は防災用品の見直し方法|点検する項目と交換・補充の進め方で詳しく確認できます。
使用後の処分方法は自治体の案内を確認する
使用済みの携帯トイレは、購入した商品の説明書に従って袋を閉じ、自治体の案内に沿って収集まで一時保管します。
たとえば川崎市上下水道局は、使用済みの携帯トイレの口をしっかり縛り、二重袋にして、蓋付きの容器などで収集日まで保管する方法を案内しています。これは川崎市の案内です。川崎市上下水道局「備蓄しよう、携帯トイレ」
処分方法や収集の再開状況は、お住まいの自治体が災害時に発信するごみ収集の案内を確認してください。特定の自治体の方法を全国共通の処分方法として扱わないことが大切です。
まとめ|必要回数を計算して、不足分から備えよう
非常用トイレは、成人1人1日5回を目安に、家族の人数と備える日数から必要回数を計算できます。7日分なら1人35回分、4人家族では140回分が計算上の目安です。
50回・100回といったセット商品も、表示された数字だけで判断せず、自分の家庭に必要な回数との差を確認しましょう。購入時には、便袋や凝固剤などのセット内容、商品の公式仕様、保存期間、収納しやすさも確認します。
まずは現在家にある非常用トイレが何回分使えるかを数えてみてください。必要回数から現在の備蓄を引けば、次に何回分を補えばよいかが分かります。

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